ホームページのリニューアルを、デザイン案の検討から始めると失敗しやすくなります。先に確認すべきなのは、現行サイトの何が機能し、何が営業や採用の妨げになっているかです。残すべきページや検索流入を把握せずに作り直すと、問い合わせや検索順位を失うこともあります。
札幌の中小企業やBtoB企業が、社内と制作会社の認識をそろえて進めるための現状分析と要件整理を解説します。
1 リニューアルの目的を経営課題につなげる
「古く見える」「競合より見劣りする」だけでなく、解決したい業務課題を明確にします。問い合わせの増加、商談前の説明負担軽減、採用応募、サービス認知、更新時間の短縮など、目的を具体化します。

目的が複数ある場合は優先順位と成果指標を決めます。たとえば問い合わせ増加なら、件数だけでなく対象サービス、商談化率、フォーム完了率も確認します。
2 現行サイトのページを棚卸しする
URL、ページ名、役割、更新日、担当部門、閲覧数、検索流入、問い合わせへの貢献を一覧にします。「残す」「修正する」「統合する」「削除する」の判断を付けると、新サイトの構成が見えます。
閲覧数が少なくても、契約前の説明や採用選考で必要なページはあります。アクセス数だけで削除せず、営業担当者や採用担当者の利用状況も確認します。
3 アクセス解析と検索データを保存する
GA4では流入元、入口ページ、閲覧経路、フォーム開始と完了、端末を確認します。Search Consoleでは検索語、表示回数、クリック、順位、検索流入のあるURLを保存します。
リニューアル前後を比較できるよう、対象期間と指標をそろえて記録します。計測設定がない場合は、可能な範囲でサーバーログ、問い合わせ履歴、営業記録も利用します。
4 顧客と社内から課題を集める
経営者だけで判断せず、営業、採用、サポート、更新担当者へヒアリングします。顧客からよく聞かれる質問、説明に時間がかかる点、誤解されやすいサービス、更新しづらい作業を集めます。
既存顧客にも「依頼前に知りたかったこと」を聞くと、制作側だけでは気づかない情報不足が見つかります。
5 対象者と利用場面を定義する
BtoBサイトでは、利用者、比較担当者、決裁者が異なることがあります。誰が、どの状況で、何を確認し、次にどの行動を取るかを整理します。
たとえば紹介後の企業担当者なら、会社の信頼性、対応範囲、実績、進め方、問い合わせ先が必要です。採用応募者には仕事内容、社員、働く環境、選考手順が必要です。
6 必要な機能と更新項目を分ける
フォーム、検索、会員機能、多言語、予約などの機能と、お知らせ、実績、ブログ、採用情報などの更新項目を分けて整理します。それぞれ利用者、管理者、頻度、承認者を決めます。
「あると便利」で追加すると費用と保守負担が増えます。目的達成に必要か、外部サービスで代替できるかを判断します。
7 移行要件を整理する
URLが変わるページには301リダイレクトを設定し、検索評価と利用者を新ページへ案内します。原稿、画像、PDF、実績、投稿、フォームデータのうち、何を移行するか決めます。
ドメイン、サーバー、メールを同時に変更する場合は、担当と切り替え順序を明確にします。DNS変更によるメール停止を避けるため、現行設定を保存してから作業します。
8 非機能要件も決める
見落とされやすいのが、表示速度、セキュリティ、バックアップ、復旧、権限、アクセシビリティ、対応端末、保守時間などです。公開後の安定運用に関わるため、見積もり段階で確認します。
WordPressを使う場合は、本体・テーマ・プラグインの更新方針と、障害時の連絡先も決めます。
9 社内体制と承認手順を決める
窓口、原稿担当、素材担当、技術担当、最終承認者を決めます。構成、デザイン、原稿、テストの各段階で、誰がいつ確認するかを工程表に入れます。
複数部門の意見は社内でまとめてから制作会社へ伝えます。判断基準を目的と対象者に置けば、個人の好みによる手戻りを減らせます。
要件整理で制作会社へ渡す内容
会社と事業の概要、目的と優先順位、対象者、現行サイトの課題、残すページ、必要機能、素材、希望時期、予算、運用体制、管理情報を共有します。すべて確定していなくても、未決定事項を明示すれば相談できます。
制作会社からは、提案範囲、作業分担、追加料金の条件、移行方法、テスト、公開後の保守、著作権と管理権限を確認します。
まとめ
リニューアルの成否は、制作前の現状分析と要件整理で大きく決まります。ページ、データ、顧客質問、社内課題を先に確認すれば、残す資産と直すべき問題を区別できます。
要件が曖昧な段階でも、現在困っていることと将来増やしたい成果を共有すれば、制作会社と一緒に整理できます。デザインを選ぶ前に、判断材料をそろえることから始めましょう。