ホームページのリニューアル前には、原稿や画像だけでなく、アクセス解析データと計測設定も保存する必要があります。公開後に流入や問い合わせが変化しても、以前の基準がなければ改善なのか不具合なのか判断できません。
検索流入のあるページを誤って削除する、GA4イベントが消える、同じタグが二重発火するといった事故を防ぐため、保存すべき情報と確認方法を整理します。
なぜ公開前の保存が必要か
リニューアルではURL、ページ構成、文章、フォーム、タグの設置場所が変わります。変更前の状態を記録しておけば、検索流入の維持、導線の改善、計測不具合の発見に使えます。

管理画面へアクセスできれば十分ではありません。期間や設定変更によって過去と同じ画面を再現できないことがあるため、主要データをファイルや一覧として残します。
GA4で保存する基本データ
直近3か月、前年同期間、可能なら過去12か月について、ユーザー数、セッション、流入元、入口ページ、閲覧ページ、端末、地域、問い合わせイベントを保存します。
特に自然検索から訪問されるページ、問い合わせ前に閲覧されるページ、フォーム開始と完了の差が重要です。月次推移も残すと、季節変動とリニューアルの影響を区別しやすくなります。
Search Consoleで保存するデータ
検索パフォーマンスから、検索語、ページ、クリック、表示回数、クリック率、平均掲載順位を保存します。期間は直近3か月だけでなく、前年同期間や利用可能な長期間も確認します。
検索流入が多いURL、会社名以外の検索語、地域名やサービス名で表示されるページは、移行時に優先して保全します。外部リンクやインデックス状況も確認します。
URL単位の一覧を作る
現行URL、ページ名、役割、GA4の閲覧数、Search Consoleのクリック、問い合わせへの貢献、移行先URL、対応方針を一覧化します。「残す」「修正」「統合」「削除」を明確にします。
閲覧数が少なくても、営業資料や採用選考で使うページがあります。アクセスデータだけでなく、営業・採用担当者の利用状況を記録します。
コンバージョンとイベントの定義を残す
問い合わせ完了、フォーム開始、電話クリック、メールクリック、資料ダウンロードなど、何を成果としているかを一覧にします。GA4のイベント名、発火条件、キーイベント設定、利用するパラメータを記録します。
同じイベント名でも、完了ページ表示とボタンクリックでは意味が違います。計測の目的と条件を文章で残します。
Googleタグマネージャーをバックアップする
GTMを使っている場合は、コンテナ、ワークスペース、公開バージョン、タグ、トリガー、変数を確認し、コンテナをエクスポートします。現在公開中のバージョンと作業中の変更を区別します。
GA4タグがテーマ、プラグイン、Site Kit、GTMなど複数経路から出ていないか確認します。移行後の実装経路を一つに決めます。
管理権限とアカウント情報を整理する
GA4プロパティ、GTMコンテナ、Search Consoleプロパティの所有者と管理者を確認します。制作会社の個人アカウントだけに依存せず、自社管理のGoogleアカウントを含めます。
測定ID、コンテナID、プロパティ名、対象ドメイン、データ保持期間、内部トラフィック設定も記録します。パスワードを一覧へ直接書かず、安全な管理方法を使います。
UTM命名ルールと流入施策を保存する
広告、SNS、メール、QRコードで使うutm_source、utm_medium、utm_campaignなどの命名規則と管理表を残します。リニューアルで遷移先URLが変わる場合は、既存の掲載物や広告リンクも更新します。
命名が途中で変わると前後比較が難しくなるため、原則として同じルールを継続します。
フォームと外部サービスの計測を確認する
WordPress内のフォームだけでなく、外部予約、チャット、LINE、電話、メール、採用システムへの移動も確認します。別ドメインへ移動する場合は、参照元や計測が途切れないか検討します。
フォームの送信件数、問い合わせ管理表、営業の商談化結果も保存します。GA4のイベント数だけでは実際の有効問い合わせを判断できません。
同意設定とプライバシーを確認する
Cookie同意、プライバシーポリシー、データ保持、広告連携、個人情報の送信内容を確認します。フォーム入力内容や氏名、メールアドレスをGA4やGTMへ送らないよう、設定を点検します。
利用していない広告タグや古い外部スクリプトは、目的と管理者を確認したうえで整理します。
公開前テストの基準を作る
リニューアル前の正常な動作を基準として、公開後に同じ操作をテストします。ページ表示、session_start、scroll、フォーム開始、generate_leadなど、必要なイベントを一覧にします。
Tag AssistantとGA4のDebugViewまたはリアルタイムで、各イベントが一回だけ記録されることを確認します。デスクトップとスマートフォン、複数の入口ページを対象にします。
公開後の比較方法
公開直後は設定不具合を日次で確認し、その後は週次・月次で比較します。自然検索のクリック、入口ページ、問い合わせ完了、フォーム完了率、商談化を確認します。
期間、曜日、広告、季節要因をそろえ、単日の増減だけで判断しません。大きな減少があれば、計測不具合、301リダイレクト、noindex、フォーム、表示速度を優先して調べます。
保存物のチェックリスト
- GA4の主要レポートとイベント定義
- Search Consoleの検索語・ページデータ
- 現行URLと新URLの対応表
- GTMコンテナのエクスポート
- 測定ID、コンテナID、管理権限
- UTM命名ルールと施策一覧
- フォーム送信件数と商談結果
- 同意・プライバシー設定
- 公開前後のテスト項目
保存場所、作成日、担当者も記録し、制作会社と自社の双方が確認できるようにします。
まとめ
リニューアル前に残すべきものは、アクセス数のスクリーンショットだけではありません。URL別の検索・閲覧データ、成果イベント、GTM設定、管理権限、UTM、問い合わせ実績、プライバシー設定を一体で保存します。
計測を移行要件として最初から工程へ含めれば、公開後の二重計測やデータ欠落を防ぎ、リニューアルの成果を正しく判断できます。