GA4やSearch Consoleには多くの指標があります。すべてを月次資料へ並べると、数字の説明だけで会議が終わり、「どのページをどう直すか」が決まりません。
BtoB企業のホームページ改善では、認知、流入、入口の質、検討行動、問い合わせ成果を一続きで確認すれば、最初の判断には十分です。本記事では、毎月見る数字を5つに絞り、数字から改善施策を決める方法を解説します。
毎月見る5つの数字
- Google検索の表示回数とクリック数
- チャネル別セッション数
- 主要ランディングページのエンゲージメント率
- 問い合わせ前の検討行動
- 問い合わせ完了数とキーイベント率
「5つ」としていますが、最初の項目では表示回数とクリック数を一組として見ます。一方だけでは、検索で見つからないのか、見えていても選ばれないのかを判断できないためです。

数字を見る前にそろえる条件
期間
- 当月と前月
- 当月と前年同月
- 直近3か月の推移
月の日数や曜日構成、年末年始、年度末、連休、広告期間を考慮します。短期変動が大きいサイトは3か月移動平均も使います。
成果の定義
- 問い合わせ完了:
generate_lead - 資料請求完了
- 見積もり依頼完了
- 採用応募完了
- 電話リンククリックなどの補助行動
フォーム開始や送信ボタンのクリックを、正常完了と混同しません。
変更履歴
- 記事公開・更新
- タイトル変更
- 広告開始・停止
- SNS・メール配信
- フォーム変更
- GA4・GTM設定変更
- サイト障害
数字が変わった理由を判断できるよう、日付と内容を記録します。
1. Google検索の表示回数とクリック数
分かること
Search Consoleの表示回数はGoogle検索でサイトへのリンクが表示された回数、クリック数は検索結果からサイトへ移動された回数です。
読み方
| 変化 | 状態 | 主な確認 |
|---|---|---|
| 表示増・クリック増 | 検索露出と流入が拡大 | 貢献ページ、問い合わせ |
| 表示増・クリック横ばい | 見えるが選ばれにくい | クエリ、CTR、タイトル |
| 表示横ばい・クリック増 | 選ばれ方が改善 | CTR、順位、指名検索 |
| 表示減・クリック減 | 需要・露出・技術面の変化 | ページ、クエリ、インデックス |
次の行動
- 表示回数が増えたクエリを確認する
- 低CTRページのタイトルと内容を確認する
- 11〜30位付近で伸びているテーマを補強する
- 指名検索と一般検索を分ける
- 更新したページの前後を比較する
順位だけではなく、表示とクリックの長期傾向を優先します。
2. チャネル別セッション数
分かること
GA4のトラフィック獲得レポートでは、どの経路から訪問が生まれたかをセッション単位で確認できます。
- Organic Search
- Paid Search
- Organic Social
- Paid Social
- Referral
- Direct
読み方
総セッションだけでなく、チャネル別の増減を見ます。メール配信後にEmailが増えたか、ブログ強化後にOrganic Searchが増えたか、広告停止後にPaid Searchが減ったかを変更履歴と照合します。
次の行動
- UTMの表記揺れを直す
- 成果率の高い媒体へ予算や制作時間を配分する
- Directが急増した場合はUTM欠落を調べる
- Referralの参照元を確認する
- 流入量だけでなく問い合わせ品質を営業側と照合する
3. 主要ランディングページのエンゲージメント率
分かること
ランディングページは、そのセッションで最初に見られたページです。GA4のエンゲージメント セッションは、10秒を超えて継続した、キーイベントが発生した、または2ページ以上が表示された訪問です。エンゲージメント率は、その割合を示します。
対象ページ
- トップページ
- 主要サービスページ
- 問い合わせにつながるブログ
- 実績ページ
- 採用ページ
- 広告ランディングページ
読み方
低いから直ちに悪いとは限りません。電話番号や営業時間を確認して短時間で離脱するページもあります。ページの目的と合わせて判断します。
次の行動
- 検索・広告の訴求と冒頭内容を一致させる
- スマートフォンの読みやすさを直す
- 次に必要なサービス、事例、料金、問い合わせへのリンクを置く
- 表示速度やレイアウト崩れを確認する
- 対象外ユーザーを集めるタイトルを見直す
4. 問い合わせ前の検討行動
問い合わせ完了だけを見ると、件数が少ない月は改善途中の変化を判断できません。見込み客が比較・検討した行動を補助指標にします。
例
- サービスページ閲覧
- 実績・事例ページ閲覧
- 料金・プランページ閲覧
- 会社概要・代表紹介閲覧
- 資料ダウンロード
- 電話・メールリンククリック
- 問い合わせフォーム開始:
form_start - 重要CTAクリック
設計の注意
すべてのクリックを「成果」にしません。問い合わせとの関係が強い行動を3〜5個に絞り、通常イベントとして観察します。
読み方
| 状態 | 仮説 |
|---|---|
| サービス閲覧増・フォーム開始増 | 検討者が増えている |
| フォーム開始増・完了横ばい | 項目やエラーに課題 |
| ブログ閲覧増・サービス閲覧横ばい | 内部導線が弱い |
| 事例閲覧増・問い合わせ増 | 事例が判断を支援 |
次の行動
- ブログから関連サービス・事例へつなぐ
- フォーム項目を見直す
- よく見られる事例を主要ページへ配置する
- 料金や進め方など不足情報を追加する
5. 問い合わせ完了数とキーイベント率
分かること
GA4では、事業上重要なイベントをキーイベントとして指定できます。問い合わせ完了には推奨イベントgenerate_leadを使い、正常送信時に1回だけ計測します。
キーイベント数は成果の件数、セッションのキーイベント率は訪問に対して成果が起きた割合を示します。
件数と率を一緒に見る
| 月 | セッション | 問い合わせ | 率 |
|---|---|---|---|
| A月 | 200 | 4 | 2.0% |
| B月 | 500 | 6 | 1.2% |
B月は問い合わせ件数が多い一方、訪問あたりの成果率は低下しています。広告などで対象外流入が増えた、フォーム導線が弱くなったなどを調べます。
営業データも重ねる
- 有効問い合わせ
- 商談化
- 見積もり提出
- 受注
- 売上・粗利
- 対象外・営業連絡
問い合わせが増えても対象外ばかりでは、事業成果とは言えません。GA4には個人情報を送らず、CRMや問い合わせ管理で照合します。
5指標を一枚にまとめる
月次表の例です。
| 指標 | 当月 | 前月 | 前年同月 | 変化理由 | 次の行動 |
|---|---|---|---|---|---|
| 検索表示/クリック | |||||
| チャネル別セッション | |||||
| 主要入口のエンゲージメント率 | |||||
| 主要検討行動 | |||||
| 問い合わせ数/率 |
数値の横に必ず「理由の仮説」と「次の行動」を書きます。
ページ単位で貢献を見る
サイト全体の数字だけでは改善対象が決まりません。次のページ群へ分けます。
集客ページ
検索やSNSから最初に訪問されるブログ・LP。
検討ページ
サービス、料金、事例、会社情報。
成果ページ
問い合わせフォーム、資料請求、応募フォーム。
入口ページから検討ページ、成果ページへ移動しているかを確認します。直接問い合わせを生まないブログも、後のサービス閲覧や再訪へ貢献することがあります。
月次会議の進め方
1. 計測の正常性を確認する
- GA4が急にゼロになっていないか
generate_leadが二重発火していないか- UTMが意図した値で入っているか
- テスト送信や社内アクセスの影響はないか
2. 5指標の変化を確認する
前月・前年との大きな差だけを先に見ます。
3. 変化したページへ絞る
全ページを説明せず、伸びたページ、落ちたページ、成果ページを各数件選びます。
4. 営業・採用現場の情報を聞く
- 問い合わせ内容は変わったか
- よく聞かれた質問は何か
- 受注につながったページはあるか
- 対象外相談が増えていないか
5. 次月の改善を1〜3件決める
- サービスページへ実績を追加
- 高表示・低CTR記事のタイトル改善
- フォーム項目を削減
- ブログからサービスへの内部リンク追加
- UTM付きQRコードを配布物別に作成
担当者と期限も決めます。
数字が少ないサイトの見方
BtoBサイトでは月間問い合わせが0〜数件ということもあります。率だけを細かく比較すると、1件の差で大きく変動します。
- 3〜6か月の累計を見る
- 件数と率を併記する
- 検討行動を補助指標にする
- 問い合わせ内容を定性的に評価する
- 変更を一度に増やしすぎない
統計的に断定するのではなく、仮説を小さく試します。
毎月見なくてよい数字
目的がなければ、次を月次KPIの中心にする必要はありません。
- 全イベントの一覧
- 全ページの表示回数
- 平均掲載順位のサイト全体値
- 年齢・性別など利用できない、または判断に不要な属性
- スクロール回数だけの増減
- 一回限りの細かな端末・ブラウザ差
異常調査や個別施策では使いますが、定例会議へ毎回並べる必要はありません。
よくある失敗
- PV増加だけを成功とする
- 問い合わせ件数だけを見て原因を調べない
- 前月比だけで季節性を無視する
- サイト全体平均だけを見る
- 指標の定義や計測方法を途中で変える
- 小さな母数の率を断定する
- 報告資料を作るだけで改善を決めない
- GA4とSearch Consoleの数字の完全一致を求める
- 商談化・受注を確認しない
よくある質問
5指標だけで本当に十分ですか
月次の経営・改善判断の入口としては十分です。異常や課題を見つけたときに、クエリ、端末、地域、ページ遷移などへ掘り下げます。
数字は毎日確認した方がよいですか
障害や広告運用は日次・週次、改善判断は月次が基本です。毎日の小さな変動に反応せず、目的に応じて頻度を分けます。
問い合わせがゼロの月は何を見ますか
検索表示、チャネル流入、主要ページのエンゲージメント、サービス・事例閲覧、フォーム開始を確認します。ただし問い合わせ完了と同じ成果として扱いません。
Looker Studioは必要ですか
複数担当者が毎月同じ条件で確認するなら有効です。最初に指標と定義を固めてから、自動更新できる一画面のダッシュボードへまとめます。
まとめ
毎月見る数字は、検索の表示・クリック、チャネル別セッション、入口ページのエンゲージメント、検討行動、問い合わせ数・率の5つに絞ります。大切なのは数字を報告することではなく、変化の理由を考え、次月に実行する改善を決めることです。
株式会社サーハビーでは、札幌のBtoB企業向けに、GA4・GTM・Search Consoleの設定、問い合わせ計測、Looker Studioの月次ダッシュボード、改善会議まで支援しています。数字が多すぎて判断できない場合も、事業目的に必要な指標から整理します。
参考資料
- Google Analytics ヘルプ「エンゲージメント率と直帰率」
- Google Analytics ヘルプ「ランディング ページ レポート」
- Google Analytics ヘルプ「キーイベントについて」
- Google Search Console ヘルプ「クリック数、表示回数、掲載順位とは」
- Google Search Console ヘルプ「検索結果のパフォーマンス:一般的なタスク」