社長の頭の中をホームページ原稿に変える整理術

経営者の経験、判断、顧客価値、事実、将来像を表す異素材の糸を、撚糸機で一本の強い綱へまとめ、読み手に届く白紙の会社冊子へつなぐ編集工房

会社のことを最も深く理解している社長でも、ホームページ原稿を最初から順番に書くのは簡単ではありません。創業の背景、顧客への思い、技術の特徴、営業上の判断、将来像が頭の中でつながっていても、初めて会社を知る人に必要な順序とは異なるからです。

話を聞くと重要な情報が次々に出てくるのに、文章へまとめると抽象的になる。途中で別のテーマへ移り、結局何を掲載するか決まらない。この問題は、社長の話がまとまっていないのではなく、経営の情報とWebページの構造が違うことから起きます。

本記事では、札幌の中小企業が、社長の中にある知識を事実に分解し、読み手に伝わるホームページ原稿へ変える方法を解説します。

経営者の経験、判断、顧客価値、事実、将来像を表す異素材の糸を、撚糸機で一本の強い綱へまとめ、読み手に届く白紙の会社冊子へつなぐ編集工房

いきなり文章を書かない

最初から「代表挨拶を800文字で」「サービス紹介を作ってください」と依頼すると、格好のよい言葉を考えることに意識が向きます。その結果、「地域に貢献する」「お客様第一」「高品質」といった一般的な表現だけが残りやすくなります。

先に集めるべきものは完成文ではなく、次のような素材です。

  • 創業前に感じていた業界の課題
  • 最初に受注した仕事と転機になった案件
  • 顧客から繰り返し相談されること
  • 見積もりや受注を断る基準
  • 品質を守るために続けている工程
  • 社員へ必ず伝えている判断基準
  • 今後増やしたい顧客や仕事
  • 実際の数字、資料、写真、成果物

素材を集め、分類し、確認してから文章にします。

社長の話を5種類に分ける

ヒアリング内容をそのまま時系列で掲載するのではなく、情報の役割で分けます。

情報の種類 内容 主な掲載先
事実 所在地、年数、設備、資格、対応範囲 会社概要・サービス
経験 創業、転機、難しい案件、改善 代表挨拶・事例
判断基準 何を優先し、何を断るか 強み・仕事の進め方
顧客価値 顧客の不安や負担がどう変わるか トップ・サービス
将来像 今後どんな会社を目指すか 代表挨拶・採用

一つの発言に複数の要素が含まれている場合は分けて記録します。たとえば「創業以来、現場確認を大切にしている」は、創業の経験、現在の工程、品質判断の三つに分解できます。

話を引き出す8つの質問

1. 会社を始める前、何に困っていましたか

創業理由を理念だけでなく、見えていた具体的な課題から聞きます。

2. 最初のお客様は何を期待していましたか

原点となる価値や、現在も変わらない役割が見つかります。

3. 今、最も多い相談は何ですか

会社が言いたいことと市場が求めていることの差を確認できます。

4. 見積もり前に必ず確認することは何ですか

仕事の精度を支える判断や、トラブルを防ぐ仕組みが表れます。

5. 社員が迷ったとき、何を基準に判断しますか

抽象的な社訓を、日々の行動へ変換できます。

6. 他社と比べて時間をかけている工程はありますか

顧客から見えにくい価値を発見します。比較を断定する場合は根拠が必要です。

7. どんな相談には向いていませんか

対応しない範囲を明確にすると、得意領域の信頼性が高まります。

8. 3年後、どのような相談を増やしたいですか

現在の説明だけでなく、サイトが今後担う営業・採用上の役割を決められます。

時系列を「読み手の順番」へ並べ替える

社長は会社の歴史順に話しやすい一方、閲覧者は自分の疑問順に読みます。一般的には次の順番です。

  1. 自分の課題に対応できるか
  2. 何を提供する会社か
  3. なぜ任せられるか
  4. どのように進むか
  5. 費用や期間はどう決まるか
  6. 誰が責任を持つか
  7. どう相談すればよいか

創業物語が重要でも、トップページの最初に長く置くとは限りません。読み手の疑問に答えた後、代表挨拶や会社案内で背景を伝えるほうが理解されやすい場合があります。

一つの主張に一つの根拠を付ける

社長の考えをWeb原稿にするときは、「主張・根拠・顧客への効果」の三点をそろえます。

たとえば「柔軟に対応します」だけでは具体性がありません。

  • 主張:変更が起きても工程を調整しやすい
  • 根拠:設計と制作を社内の同じ担当チームが管理する
  • 効果:伝達の往復を減らし、影響範囲を早く確認できる

実際の体制と異なることは書かず、数字や実績は確認できる資料と合わせます。

話し言葉を残す部分と整える部分

社長らしさを出すために、すべてを硬い企業文へ直す必要はありません。一方、話した順序や口癖をそのまま載せると読みにくくなります。

残したいものは、判断を表す言葉、顧客への姿勢、具体的な経験です。整えるものは、重複、脱線、主語の不足、社内だけで通じる略語です。

原稿確認では「この言い方をしたか」だけでなく、「伝えたい意味と事実が合っているか」を確認します。

ページ別の原稿へ配分する

トップページ

対象顧客、主力サービス、選ばれる根拠、相談先を短くまとめます。

サービスページ

課題、対応内容、工程、成果物、費用の考え方、よくある質問を詳しく説明します。

代表挨拶

創業の背景、仕事の判断基準、顧客や地域への責任、将来像を扱います。サービス説明の繰り返しにはしません。

会社概要

正式な事実を確認しやすく掲載します。理念と基本情報を混ぜすぎないようにします。

採用ページ

仕事の現実、期待する行動、育成、評価、働く環境へ経営の考えを落とし込みます。

原稿整理の実務手順

  1. 既存資料とサイトを先に確認する
  2. 60〜90分のヒアリングを行う
  3. 発言を事実・経験・判断・価値・将来像へ分類する
  4. 不明点と証拠が必要な主張を一覧化する
  5. 読み手の疑問順にページ構成を作る
  6. 各見出しを一文で要約する
  7. 本文を書き、根拠を付ける
  8. 社長と現場担当者が事実確認する
  9. 公開後、営業で使えるか確認する

録音やAI文字起こしを使う場合は、参加者の同意、機密情報、保存期間、利用範囲を事前に決めます。文字起こしは原稿ではなく、確認用の素材として扱います。

よくある質問

社長が忙しく、長時間の取材ができません

事前に質問と確認資料を絞り、45分を2回に分ける方法があります。最初は全体像、2回目は原稿案の不足だけを確認すると効率的です。

社長と社員で説明が違います

どちらかをすぐに正解とせず、方針と実際の運用を分けて確認します。差が大きい場合は、原稿制作より先に社内で対応範囲や手順をそろえる必要があります。

話が長く、まとまりません

途中で結論を急がず、案件名、相手、状況、判断、結果を質問して具体化します。ヒアリング後に分類する前提なら、話す順番は自由でも問題ありません。

AIで原稿を作れば早いですか

構成や表現の補助には使えますが、会社固有の事実や判断基準は自動では生まれません。公開前に責任者が事実、権利、機密、表現を確認する必要があります。

まとめ

社長の頭の中をホームページ原稿へ変えるには、いきなり文章を書かず、事実、経験、判断基準、顧客価値、将来像へ分解します。その後、会社の歴史順ではなく、閲覧者の疑問順に並べ替え、一つの主張に根拠を付けます。

株式会社サーハビーでは、札幌の経営者へのヒアリングから、サービス構成、代表挨拶、事例、問い合わせ導線まで整理します。話したいことが多い、まだ考えがまとまっていないという段階でも、資料と対話から必要な原稿を組み立てます。

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