ホームページの更新を一人の担当者に任せていると、その人の異動や退職をきっかけに運用が止まることがあります。ログイン方法が分からない、契約先を知らない、画像の保存場所が見つからない、誰の承認で公開するのか決まっていない。技術的には小さな更新でも、情報が分散していると動かせません。
これは担当者個人の問題ではなく、運用が仕組みになっていないことが原因です。本記事では、札幌の中小企業が、特定の人へ依存せずホームページを安全に継続するための管理方法を解説します。
担当者が辞めて初めて分かる「見えない仕事」
日常の更新には、管理画面への入力以外にも多くの判断があります。

- どの情報を更新するか集める
- 写真や文章の掲載許可を確認する
- ページの体裁を整える
- 上司や関係部署へ承認を取る
- 公開後に表示とフォームを確認する
- 制作会社へ依頼内容を伝える
- ドメイン、サーバー、ツールの契約を管理する
一人が記憶で処理していると、その人が不在になっただけで全体が止まります。まず業務を可視化する必要があります。
最初に整理する6つの管理領域
1. 所有者と契約者
ドメイン、サーバー、WordPress、Google Analytics、Search Console、Googleタグマネージャー、メール、フォームなどについて、誰またはどの法人が所有・契約しているか確認します。
会社資産は、可能な範囲で退職予定の個人メールではなく会社管理のアカウントへ集約します。個人アカウントから無断で移すのではなく、各サービスの正式な権限移譲手順を使います。
2. 権限
全員へ管理者権限を渡すのは安全ではありません。役割に応じて、閲覧、記事作成、公開、設定変更、請求管理を分けます。
| 役割 | 主な権限の例 |
|---|---|
| 記事担当 | 下書き作成、画像登録 |
| 承認者 | 内容確認、公開判断 |
| Web管理者 | ユーザー管理、設定変更 |
| 経理・責任者 | 契約、支払い、所有権確認 |
| 制作会社 | 合意した保守範囲のみ |
退職・異動時には不要な権限を停止し、共有パスワードの使い回しを避けます。
3. 更新手順
頻繁に行う作業は、画面名だけでなく目的と確認方法まで記録します。
- お知らせを下書きする
- アイキャッチ画像を設定する
- カテゴリーを選ぶ
- 承認を依頼する
- 公開日時を設定する
- スマートフォン表示を確認する
- 公開後のURLを関係者へ共有する
WordPressの画面は更新で変わるため、スクリーンショットだけに頼らず、判断基準を文章で残します。
4. 承認ルール
誰が文章、価格、法的表現、顧客名、写真を確認するか決めます。緊急のお知らせと通常の記事で承認経路を分けると、必要な情報を早く出せます。
5. 素材と履歴
ロゴ、写真、原稿、公開許可、元データ、過去の制作物を共有場所へ整理します。ファイル名には日付、用途、版を含め、最終版が分かるようにします。
6. 問い合わせ先
サーバー障害、フォーム不具合、記事修正、請求など、問題ごとの連絡先をまとめます。制作会社の担当者名だけでなく、会社の代表窓口や契約番号も記録します。
最低限作る「Web運用台帳」
機密情報を一枚の表へ直接書く必要はありません。台帳には、情報の所在と責任者を記載します。
| 項目 | 台帳に残す内容 |
|---|---|
| ドメイン | 管理会社、契約名義、更新月、管理窓口 |
| サーバー | サービス名、契約者、保守先 |
| WordPress | 管理責任者、ユーザー発行手順 |
| 解析 | プロパティ名、管理者、目的 |
| フォーム | 送信先、一次対応者、試験日 |
| 制作データ | 保管場所、バックアップ、更新者 |
| 外部契約 | 制作・保守範囲、連絡先、契約期限 |
パスワードはアクセス制御されたパスワード管理ツールで保管し、台帳には保管場所だけを示します。
二人以上が触れられる体制を作る
担当者一人、承認者一人、外部支援先という最低三つの役割を意識します。小規模な会社では兼務しても構いませんが、主担当が不在のとき誰が何をするか決めます。
月に一度、予備担当者が実際に下書きや表示確認を行うと、手順が古くなっていないか分かります。読むだけのマニュアルより、短い実地確認が有効です。
退職が決まってから行う引き継ぎ
- 管理対象と契約を一覧化する
- 個人メールにひもづく資産を確認する
- 会社管理者を追加し、ログインを試す
- 日常作業を実演して記録する
- 未完了の更新と制作会社への依頼を整理する
- 問い合わせフォームの送信先を確認する
- バックアップと復旧窓口を確認する
- 最終出社後に不要な権限を停止する
- 予備担当者が一度更新を実施する
退職者のアカウントを慌てて削除すると、そのアカウントが唯一の所有者だったサービスへ入れなくなる可能性があります。先に所有権と必要データを確認し、正式な手順で移行します。
平常時に行う運用点検
引き継ぎは退職時だけの作業ではありません。半年に一度、次を確認します。
- 管理者一覧に退職者や不要な外部担当者がいないか
- ドメインとサーバーの更新・支払いが継続できるか
- 二要素認証の復旧方法が会社で管理されているか
- フォームが正しい宛先へ届くか
- バックアップから復旧できる契約か
- 手順書と現在の画面・運用が一致しているか
- プラグインやテーマの更新責任者が決まっているか
- 制作会社との保守範囲が明確か
外部制作会社へ任せる範囲
外部へ委託しても、会社側に責任者は必要です。制作会社が技術保守を担当し、社内が内容と承認を担当するなど、境界を明確にします。
確認したい項目は、バックアップ、障害対応、更新代行、セキュリティ更新、連絡可能時間、解約時のデータ引き渡し、アカウント所有者です。口頭だけでなく契約や運用資料に残します。
よくある質問
IDとパスワードを社内共有表へ書けば十分ですか
十分ではありません。閲覧者を制限できるパスワード管理方法を使い、二要素認証や復旧手段も管理します。台帳には秘密情報そのものではなく、保管場所と管理責任者を記載します。
一人しか更新できる社員がいません
まず予備担当者が下書き、画像差し替え、公開後確認だけでも実践します。技術的な設定は外部保守へ任せるなど、役割を分けて継続できる形にします。
制作会社がすべて管理しているので安心ですか
契約先が変わっても会社資産を引き継げるか確認が必要です。ドメインや解析アカウントの所有者、データの返却方法、解約手順を把握してください。
マニュアルはどのくらい詳しく書くべきですか
初めて担当する人が、安全に一つの更新を完了し、問題時に止めて連絡できる程度が目安です。長い資料より、頻出作業ごとの短い手順と判断基準が役立ちます。
まとめ
ホームページ運用を止めないためには、ログイン情報を引き継ぐだけでなく、所有者、権限、更新手順、承認、素材、問い合わせ先を仕組みとして管理します。二人以上が実際に作業でき、退職前から資産移譲と権限停止を計画できる状態が理想です。
株式会社サーハビーでは、札幌の企業サイトについて、WordPressの更新手順、アカウントの整理、保守範囲、バックアップ、社内承認まで運用全体を見直します。担当者に依存しているか分からない場合も、現在の管理状況から不足を確認できます。