ホームページのリニューアル後に検索流入が減る原因は、デザイン変更そのものではありません。評価されていたURLを削除する、ページ内容を薄くする、301リダイレクトを設定しない、計測を引き継がないなど、移行作業の抜けが主な原因です。
検索順位を完全に保証することはできませんが、事前に現行サイトの資産を把握し、旧URLと新URLを一対一で管理すれば、大きな損失を防ぎやすくなります。BtoB企業の担当者が制作会社と確認すべき項目を、公開前後の順に整理します。
リニューアル前に現行サイトを記録する
最初に全URLの一覧を作ります。ページ名、タイトル、主要見出し、公開状態、検索流入、被リンク、問い合わせへの貢献、移行判断を記録します。XMLサイトマップだけでなく、Search Console、GA4、サイト内リンクから見つかるURLも確認します。

検索流入が多いページ、外部サイトからリンクされているページ、商談時に使われるページは、優先して内容とURLを保全します。閲覧数だけを理由に削除すると、特定の検索語や顧客説明に必要なページを失うことがあります。
Search ConsoleとGA4の基準値を保存する
Search Consoleでは、直近3か月から16か月の検索語、ページ、クリック、表示回数、平均掲載順位を保存します。GA4では、自然検索の流入数、入口ページ、問い合わせ完了、端末別の利用状況を記録します。
公開後の変化を判断できるよう、比較する期間と指標を決めます。季節変動や広告施策の影響もあるため、前年同月や直前数か月と比べます。
旧URLと新URLの対応表を作る
URLを変更する場合は、旧URLごとに最も関連する新URLを指定します。すべてをトップページへ転送すると、利用者にも検索エンジンにも内容の対応関係が伝わりません。
統合するページは統合先へ、廃止して代替がないページは原則として404または410を検討します。末尾スラッシュ、httpとhttps、wwwの有無、パラメータ付きURLも整理します。
301リダイレクトを公開前に準備する
恒久的なURL変更には301リダイレクトを使います。公開後に気づいて設定するのではなく、対応表から事前に設定ファイルを作り、テスト環境で確認します。
転送先が200を返すこと、リダイレクトが何段も連鎖しないこと、ループしないことを確認します。画像やPDFに検索流入や外部リンクがある場合は、それらの移行も対象です。
検索意図に応える内容を残す
デザインを簡潔にする過程で、実績、対応範囲、手順、料金の考え方、よくある質問などを削りすぎることがあります。検索されていた理由と商談で必要な情報を把握し、同等以上の内容を新ページへ引き継ぎます。
複数ページを統合する場合は、単に文章を貼り合わせず、重複を整理して見出しと内部リンクを再設計します。
タイトル・見出し・メタ情報を確認する
ページごとに固有のタイトル、H1、メタディスクリプションを設定します。会社名だけのタイトルや、全ページ同じ説明文は避けます。地域名やサービス名は実際の内容に沿って自然に使います。
canonical、noindex、robots.txtも確認します。テスト環境で検索除外していた設定が本番に残る事故は、公開時の重要な確認項目です。
内部リンクとナビゲーションを更新する
サイト内のリンクは旧URLを経由せず、新URLへ直接変更します。パンくず、メニュー、関連記事、フッター、本文リンク、構造化データを確認します。孤立したページがないよう、関連ページから辿れる構造にします。
XMLサイトマップと構造化データを整える
XMLサイトマップには、インデックスさせたい正規URLだけを含めます。404、転送URL、noindexページを除外し、Search Consoleへ送信します。
企業情報、パンくず、記事などの構造化データは、表示内容と一致させます。旧ドメインや古いロゴ、存在しない情報が残っていないか確認します。
表示速度とスマホ表示をテストする
画像サイズ、フォント、JavaScript、外部タグを見直し、主要ページの表示速度を確認します。スマートフォンでメニュー、文字、CTA、フォームが使えるか実機でテストします。
速度改善のために解析タグや問い合わせ計測を誤って削除しないよう、必要なタグと不要なタグを区別します。
計測設定を二重化せず引き継ぐ
GA4、Googleタグマネージャー、Search Consoleの所有権と設定を確認します。同じGA4タグをテーマ、プラグイン、GTMから重複して出さないよう、経路を一つにします。
公開前後にTag AssistantとGA4のDebugViewまたはリアルタイムを使い、page_viewや問い合わせイベントが一回だけ記録されることを確認します。
公開直後に行う確認
代表的な旧URL、新URL、フォーム、サイトマップ、robots.txtを確認します。Search ConsoleのURL検査で重要ページを確認し、サーバーエラー、404、インデックス状況を監視します。
公開直後は検索順位が一時的に変動することがあります。単日の順位だけで判断せず、クリック、表示回数、流入、問い合わせを数週間単位で比較します。
公開後1〜3か月の改善
404やリダイレクトエラーを修正し、表示回数が維持されてもクリック率が下がったページはタイトルや説明を見直します。順位低下ページは、旧ページとの差分、検索意図、内部リンク、内容の不足を確認します。
制作会社任せにせず、旧URL対応表、計測基準値、公開後の確認結果を自社にも残しておくと、今後の改善や再移行に役立ちます。
まとめ
SEO移行で重要なのは、旧サイトの評価を推測ではなくURL単位で把握し、新サイトへ対応付けることです。現行データの保存、301リダイレクト、内容の維持、内部リンク、サイトマップ、計測、公開後監視を一つの工程として管理します。
リニューアルの企画段階からSEO移行を要件に含め、制作会社へ対応範囲と確認方法を具体的に聞くことで、検索流入を守りながら改善を進められます。